うつの重症度がわかるセルフチェックリスト~簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)~

うつかな…と思ったら

最近なんだか集中力や気力がなく、仕事などでミスが増えている、病院で検査しても何の異常もないのに体の調子が悪い…など、明確な理由がないのに不調が続いている場合には、うつの可能性があるかもしれません。

自分でうつかもしれないと感じた時には、セルフチェックで客観的にとらえてみると現状を把握しやすくなります。また、病院に行くかどうかの判断基準にもなりますね。

うつチェックリストの使い方

今回紹介するのは、「簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)」というチェックリストです。各項目を選択して、点数化することで重症度のレベルも測ることができます。

 

私も初めて病院に通院した時に、このような簡単なチェックリストをしたよ。

他の病気とは違って、うつは診断基準が明確化されていないので、客観的な指標があると安心材料にもなるよね。

簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)とは

簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology:QIDS -J)は、16 項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度を評価できるほか、アメリカ精神医学会の診断基準 DSM-IV の大うつ病性障害(中核的なうつ病)の診断基準に対応しているという特長を持っています。世界的に知られた精神科医 John Rush 先生によって開発され、世界 10 カ国以上で使用されています。日本語版は、慶応大学医学部の藤澤大介先生のグループによって作成されました。

採点方法

睡眠に関する項目(第1-4項目)、食欲/体重に関する項目(第6-9項目)、精神運動状態に関する2項目(第15、16項目)は、それぞれの項目で最も点数が高いものを1つだけ選んで点数化します。それ以外の項目(第5、10,11,12,13,14項目)は、それぞれの点数を書き出します。

 

うつ病の重症度は、睡眠、食欲/体重、精神運動、その他 6 項目を会わせて 9 項目の合計点数(0点から27点)で評価します。原版 QIDS では、点数と重症度は下記のようになっています。

点数 重症度
0~5 正常
5~10 軽度
11~15 中等度
16~20 重度
21~27 きわめて重度

QIDS-Jの使い方

各項目が大うつ病性障害の症状に対応しているので、うつ症状の評価やスクリーニングに使えるほか、合計点を算出することでうつ状態の変化を見ることができます。6 点以上の場合にはうつ病の可能性がありますので、まず医療機関に相談してください。

うつチェックリスト~簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)~

では、早速チェックリストを使って自己診断を行っていきましょう。メモを準備して、設問ごとの点数を書き込んでいくと後で集計しやすいですよ。


1. 寝つき

0. 問題ない(または、寝付くのに30分以上かかったことは 一度もない)  
1. 寝つくのに30分以上かかったこともあるが、一週間の半 分以下である
2. 寝つくのに30分以上かかったことが、週の半分以上ある 
3. 寝つくのに60分以上かかったことが、(1週間の)半分 以上ある

2. 夜間の睡眠

0. 問題ない(夜間に目が覚めたことはない)
1. 落ちつかない、浅い眠りで、何回か短く目が覚めたことがある
2. 毎晩少なくとも1回は目が覚めるが、難なくまた眠ることができる
3. 毎晩1回以上目が覚め、そのまま20分以上眠れないことが、(1週間の)半分以上ある

3. 早く目が覚めすぎる

0. 問題ない(夜間に目が覚めたことはない)
1. 落ちつかない、浅い眠りで、何回か短く目が覚めたことがある
2. 毎晩少なくとも1回は目が覚めるが、難なくまた眠ることができる
3. 毎晩1回以上目が覚め、そのまま20分以上眠れないことが、(1週間の)半分以上ある

4. 眠りすぎる

0. 問題ない(夜間、眠りすぎることはなく、日中に昼寝をすることもない)
1. 24時間のうち、眠っている時間は、昼寝を含めて10時間ほどである
2. 24時間のうち、眠っている時間は、昼寝を含めて12時間ほどである
3. 24時間のうち、昼寝を含めて12時間以上眠っている

5. 悲しい気持ち

0. 悲しいとは思わない
1. 悲しいと思うことは、半分以下の時間である
2. 悲しいと思うことが半分以上の時間ある
3. ほとんどすべての時間、悲しいと感じている

6. 食欲低下

0. 普段の食欲とかわらない、または、食欲が増えた
1. 普段よりいくぶん食べる回数が少ないか、量が少ない
2. 普段よりかなり食べる量が少なく、食べるよう努めないといけない
3.

まる1日(24時間)ほとんどものを食べず、食べるのは極めて強く食べようと努めたり、誰かに食べるよう説得されたときだけである

7. 食欲増進

0. 普段の食欲とかわらない、または、食欲が減った
1. 普段より頻回に食べないといけないように感じる
2. 普段とくらべて、常に食べる回数が多かったり、量が多かったりする
3. 食事の時も、食事と食事の間も、食べ過ぎる衝動にかられている

8. 体重減少(最近2週間で)

0. 体重は変わっていない、または、体重は増えた
1. 少し体重が減った気がする
2. 1キロ以上やせた
3. 2キロ以上やせた

9. 体重増加(最近2週間で)

0. 体重は変わっていない、または、体重は減った
1. 少し体重が増えた気がする
2. 1キロ以上太った
3. 2キロ以上太った

10. 集中力/決断

0. 集中力や決断力は普段とかわりない
1. ときどき決断しづらくなっているように感じたり、注意が散漫になるように感じる
2. ほとんどの時間、注意を集中したり、決断を下すのに苦労する
3. ものを読むこともじゅうぶんにできなかったり、小さなことですら決断できないほど集中力が落ちている

11. 自分についての見方

0. 自分のことを、他の人と同じくらい価値があって、援助に値する人間だと思う
1. 普段よりも自分を責めがちである
2. 自分が他の人に迷惑をかけているとかなり信じている
3. 自分の大小の欠陥について、ほとんど常に考えている

12. 死や自殺についての考え

0. 死や自殺について考えることはない
1. 人生が空っぽに感じ、生きている価値があるかどうか疑問に思う
2. 自殺や死について、1週間に数回、数分間にわたって考えることがある
3. 自殺や死について1日に何回か細部にわたって考える、または、具体的な自殺の計画を立てたり、実際に死のうとしたりしたことがあった

13. 一般的な興味

0. 他人のことやいろいろな活動についての興味は普段と変わらない
1. 人々や活動について、普段より興味が薄れていると感じる
2. 以前好んでいた活動のうち、一つか二つのことにしか興味がなくなっていると感じる
3. 以前好んでいた活動に、ほとんどまったく興味がなくなっている

14. エネルギーのレベル

0. 普段のエネルギーのレベルと変わりない
1. 普段よりも疲れやすい
2. 普段の日常の活動(例えば、買い物、宿題、料理、出勤など)をやり始めたり、やりとげるのに、大きな努力が必要である
3. ただエネルギーがないという理由だけで、日常の活動のほとんどが実行できない

15. 動きが遅くなった気がする

0. 普段どおりの速さで考えたり、話したり、動いたりしている
1. 頭の働きが遅くなっていたり、声が単調で平坦に感じる
2. ほとんどの質問に答えるのに何秒かかかり、考えが遅くなっているのがわかる
3. 最大の努力をしないと、質問に答えられないことがしばしばである

16. 落ち着かない

0. 落ち着かない気持ちはない。
1. しばしばそわそわしていて、手をもんだり、座り直したりせずにはいられない
2. 動き回りたい衝動があって、かなり落ち着かない。
3. ときどき、座っていられなくて歩き回らずにはいられないことがある

出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/02.pdf

集計方法

 

それでは、採点方法に基づいて結果を集計していきましょう。

    • 睡眠に関する項目(第1-4項目)
    • 食欲/体重に関する項目(第6-9項目)
    • 精神運動状態に関する2項目(第15、16項目)

→上記の3つはそれぞれの項目で最も点数が高いものを1つだけ選んで点数化します。

例) 第1項目:2、第2項目:1、第3項目:0、第4項目:2⇒点数は「2」

  • それ以外の項目(第5、10、11、12、13、14項目)

→それぞれの点数を書き出します。

設問番号 点数
1.~4.(睡眠に関する項目)  
5.  
6.~9.(食欲/体重に関する項目)  
10.  
11.  
12.  
13.  
14.  
15~16(精神運動状態に関する項目)  
合計点数  

自身の合計点数が出たら、下記の票を基に、うつ病の重症度を評価してみましょう。

点数 重症度
0~5 正常
5~10 軽度
11~15 中等度
16~20 重度
21~27 きわめて重度
出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/02.pdf

 

結果はどうだったかな? どんな結果でも落ち込むことなく、今の自分だと受け入れてあげよう!

わたしも初めてやったときは「重症」という結果で、少し落ち込んだ部分もあったけど、客観的に自分を見ることができたので、安心材料にもなったよ。

重症度がわかれば、病院に行ってみようという後押しにもなるよね。

その他の診断方法とチェック後について

その他のチェックツール

今回紹介した、「簡易抑うつ症状尺度(QIDS -J)」の他にも、セルフチェックができる指標がいくつかあります。

厚生労働省委託事業(ポータルサイト運営)として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が受託して開設している『こころの耳』というサイトにも、チェックリストのツールリンクが貼られているので、気になる人はチェックしてみてくださいね。

チェックリストなどのツール(働く方へ/ご家族の方へ)

セルフチェックが終わったら…

セルフチェックをしてみた結果は、今の自分を表す一つの客観的な指標です。そのため、この結果を見て一喜一憂するのではなく、現状を把握する一助にしてください。

そして、気になる結果や自身の体調について不安なことがある場合には、心療内科や精神科などの病院や産業医・カウンセラーへの相談を検討してみましょう。

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